子どもに多い腰痛〜分離症の予防と対処法〜
分離症とは?
子どもに起きる腰痛の一つに『分離症』というものがあります。
分離症は成長期の過剰なスポーツ活動によって起きやすく、腰にある骨(=腰椎)の疲労骨折です。
同じ箇所に繰り返しストレスが加わることによって、赤線で示した箇所に疲労骨折が起きやすくなります。
この疲労骨折は発生初期ならまだ治りやすいのですが、放置されて長期間経っているものは『偽関節』という状態になっており、骨癒合が不可能になってしまいます。
子どもの腰痛だからといって「すぐ治るだろう」と甘く見ると、生涯腰痛と付き合っていくことになりかねないのです。
原因
まず一つは身体の柔軟性の問題です。
分離症になりやすい動きとしては
- 後屈
- 回旋
要は腰を後ろに反らす動きと捻る動きです。
腰単体の動きの問題もあるのですが、後屈を制限させてしまう箇所は
- 腸腰筋(股関節の前)
- 大腿四頭筋(太ももの前)
です。
この筋肉が硬いと、股関節が伸びにくくなり、その代わりに腰で余分に伸ばすことになります。
次に、腰はもともと捻る動きが苦手です。
その苦手な動きを補うために動いてくれる箇所は
- 股関節
- 胸郭・胸椎(胸周り)
です。
これらの動きや柔軟性が悪いと分離症になってしまうリスクが一段と上がってしまうのです。
症状
分離症の腰痛は繰り返されることが多いです。
数日休んだら痛みは落ち着いたからといって、また再開するとすぐに痛みが再発するといったことが起きます。
痛みは運動することによって増強されるのですが、後屈と回旋動作によって特に増強がみられます。
対処法
腰椎に分離症を起こしているかどうかは、整形外科などでレントゲン撮影を行ってみないと確定診断はつけれません。
ですが発生初期はレントゲンにもはっきり映らない時期もあるので注意が必要です。
早期に発見された場合はコルセットを着用し、骨癒合の獲得を目指し数ヶ月は運動をストップさせなければなりません。
そうならないために、またはそうなってしまっても復帰するために日頃から行えるエクササイズをご紹介します。
- 腸腰筋のストレッチ
脚を後ろに引き、腰を反らさないように股関節の前面を伸ばします。
- 臀部のストレッチ
伸ばす側の脚を前に出し、膝を身体より外に出すように股関節を広げます。
このとき膝関節は完全に曲げずに70〜80°ぐらいを目指しましょう。
前に肘をついて伸ばすのですが、キツイ場合は手をついても構いません。
- 胸郭の回旋
四つん這いの状態から片脚を前に出し、出した逆の手をつき、出した側の手を頭の後ろにします。
息を吐きながら胸を上に向けるように開き、目線は肘先にしておきます。
まとめ
分離症は予防または早期発見がとても大切です。
分離症になりやすいストレスを理解し、自分自身の身体の柔軟性・動きの硬さを認知して適切なエクササイズに取り組むことが、予防・改善の近道になることと考えています。
今回紹介したエクササイズで全て完結する訳ではありません。
一人一人の身体の状態は違います。
日頃のケアの参考や、腰痛に悩んでいる方の手助けになれればと思います。
お気軽にご相談ください。